消費税軽減税率対策窓口相談等事業「キャッシュレス決済の事例と動向」セミナーが開催されました

キャッシュレス決済の事例と動向 セミナー 学び

令和元年9月2日(月)14:00~16:00
杉山貴思氏による「キャッシュレス決済の事例と動向」セミナーを倉敷市児島産業振興センター2階 会議室にて開催されました

■テーマ
キャッシュレス決済の事例と動向
多様化する決済方法と「お会計」ニーズ

■講師
G-word(グッドワード)代表
ネットショップコンサルタント
杉山 貴思氏

講座の背景として 2019年10月に消費税10%への引き上げにより 計画的に対応をしないと 売上が下がる危険性があり お客様を引き付けるための各種決済戦略の基本を学ぶ必要があります。
また杉山氏は 同じ商材・同じ環境でも 売れる職場と売れない職場に分かれるのは「良いサービスは良い職場から!」に起因すると言われます。

・お客様は頼りになる人から買いたいので 一歩先を案内できるか
・マンネリ化でなく「カッコイイ」つまり先取りしているか
・お金は将来性についてくるので 現状維持では伸びない
などが大切だそうです。

また小売りはEC(ネットショップ)化が進み 市場規模が右肩上がりの中 店舗は逆境を乗り切る必要があり 逆流は絶対にダメだと言われます。
そして業界の攻めどころは 世界の各国に比べ 日本のキャッシュレス決済の比率がかなり低い点であるそうです。

キャッシュレス先進国のスウェーデン 韓国 中国などに比べ 日本のキャッシュレスが遅れているのは 治安の良さや 現金に対する高い信頼、現金取り扱いの煩雑さが少ない(レジの性能&暗算の速さ)、ATMなど現金の入手が容易などの社会情勢によります。
しかも端末導入のコスト、手数料、キャッシュフローなどで店舗も消極的になり 対応の遅れている実店舗や 使い過ぎ、セキュリティーなどの不安から 消費者も消極的になっています。

では敢えてキャッシュレス決済を進めるメリットは 次の3つがあります。
・社会的メリット…年間1兆円ともいわれる現金を扱うコストが抑えられる(現金保管・輸送。ATM設置・運営)。
  税収を確実に確保できる。
・店舗…締めの売上金作業の短時間化(アルバイト パートへの残業代減少)。
  おつりの間違いの減少。
  現金紛失のリスク減少。
・お客様…利便性が高まり、かっこいいし スマート。
  財布が軽くなる。
  現金を引き出す手間が減る。

キャッシュレス決済は 主に3種類に分けられます。
・プリペイド(前払い)…電子マネー(交通系、流通系)
  【利用金額を事前にチャージ】
・リアルタイムペイ(即時払い)…デビッドカード(銀行系、国際ブランド系) モバイルウォレット(QRコード、NFC等)
  【リアルタイム取引】
・ポストペイ(後払い)…クレジットカード(磁気カード、ICカード)
  【後払い、与信機能】

また ネット通販の傾向として、今まではVISAやMasterCardのクレジット決済が主流でしたが、最近は各種カードに紐付いた『ID決済(IDとパスワードのみで取引が可能にな決済サービス)』(Amazon Pay、PayPal、楽天ペイなど)が台頭してきているそうです。

支払い手段として 主に3種類。
・電子マネー…企業により提供される情報通信技術を活用。
  Suica、PASMO、楽天Edy、nanaco、WAONなど。
・デビッドカード…預金口座と紐付けられた決済用カード。金融機関(一般的に銀行)が発行し、決済すると同時に代金が即時に口座から引き落とされる。
・プリカ(プリペイドカード)…予め入金して積み立てておく形(前払い)で、一定金額の価値を有し、商品やサービスを提供してもらう権利のあるカード型の有価証券(金券)。
  Suica、auWALLETプリペイドなど。

日本のQRコード決済は乱立しており
・LINE Pay(個人間送金可、銀行 コンビニなどでチャージ可)
・楽天ペイ(楽天ポイントがたまる)
・Amazon Pay(Amazon アカウントで利用可)
・Origami Pay(国内古参)
・PayPay(ソフトバンク・ヤフー)
・d払い(ドコモ払い)
・au PAY(楽天ペイと相乗り)
・ゆうちょ Pay(駅券売機から現金引き出し可)
などがあります。

メジャーな楽天ペイ、PayPay、LINEペイ、Origami Payなどは 初期費用・月額固定費用ともに無料で 手数料は楽天ペイが3.24~3.74%、PayPayは無料(2021年9月30日まで)、LINEペイも無料(2021年7月31日まで)、Origami Payは3.25% POSレジ(タブレット型)のアプリは 楽天ペイはスマレジ・ユビレジ、PayPayは要相談、LINEペイはAirレジ、Origami Payはユビレジに対応しています。

このように乱立しているため日本では 複数決済方法を一つのアプリや端末に集約する流れがあり
例えばクラウドペイはd払い、LINEペイ、メルペイなど順次対応し
有名なニッポンタブレットは無料でタブレット端末を店舗に貸し出し、複数の決済手段に対応しています。

キャッシュレス決済サービスの比較と選定のポイントとしては お客様のニーズに合ったものを選ぶ必要があります。
・ポイントを貯める…PayPay、LINEペイ、楽天ペイ、マイルなど。
・支払い時の状況…交通系、クレジットカード、QRコードなど。
・ネット販売との相性…クレジットカード(ID方式含む)、楽天、Amazonなど。

実際の端末を選ぶ時、大切なのは利便性で QRコード決済はアプリが必要、クレジット・交通系カードは端末が必要で 本来両方あった方が良いのですが 業種によっては片方でも良いそうです。

いろんな決済ができるお手軽なカードリーダーで「コイニー」と呼ばれる決済端末。

これからの売上アップに繋げる攻めのアイデアを紹介すると
「客単価をアップさせる工夫」
・セット品、限定品の用意
・○○円以上は送料無料
・ついで買い…レジ横の工夫
・コントラストトーク…本体+小物など
・ボリュームディスカウント…3つで2つ分の価格など
・ポイント還元
「リピート回数をアップさせる工夫」
・クーポンの配布
・定期利用のチケット制
・オンラインコミュニケーション(単純接触回数を増やす)
・購買行動や嗜好にあったターゲット(セグメント)を絞った販促
・ロイヤルカスタマー戦略
・しおりの配布(QRコード付きなど)
・仲間や家族と一緒に行きたくなる仕掛け(友達を連れてきたら…など)
・共感を呼ぶ理念や 考え方の表明
などがあるそうです。

また政府の支援策や還元事業として
「軽減税率対策補助金」…飲食料品等を扱う中小・小規模事業者を支援するため、複数税率対応のレジと併せて、付属機器として決済端末等を導入する際に係る費用を補助。
http://kzt-hojo.jp/

「キャッシュレス・消費者還元事業」…平成31年10月1日から9ヶ月間、消費者がキャッシュレス決済で 中小・小規模の小売店・サービス業者・飲食店等で支払いを行った場合、個別店舗は5%、フランチャイズ加盟店等は2%を消費者に還元。決済手数料の補助に加えて、キャッシュレス決済端末の導入に係る費用を幅広く補助。
https://cashless.go.jp/

最後に杉山氏は10年先を見てビジネスモデルで考えるべきだと言われます。
・場当たり的な商売では短命になりやすい
・リピーターを育てる工夫は?
・残った商材の出口戦略は?
・「池」をどこにつくるのか?
・リアルとネット、モノからコトへ。どう楽しめる?
・Web戦略は時代に合ったものになっているのか?
・時代の流れを把握する。向かう先はどんな未来なのか?
・自社の課題は?
・すぐに行動を起こせる事柄は?(いつまでに何を?)

これらを具体的に考え行動を起こすことが 売上アップに繋がり これからの時代を乗り切るカギとなるそうです。

タイトルとURLをコピーしました